政治学

【政治学05】政治と経済の関係:大きな政府と小さな政府

政治と経済 政治学

前回記事では、政治体制の変遷について見てきました。

今回は、政治学連載の第5回目で、「政治とは」という問いを扱う最終回でもあります。

今回は、政治と密接な関係を持つ、経済を一緒に取り上げます。

政治と経済がどのような関係を持つのか、一緒に学んでいきましょう!

経済学の問題「市場の失敗」

私たちは日常的にモノやサービスを消費しています。

現代では、そういった製品やサービスは、市場を通して供給していることが多いです。

しかし、市場を通した供給では、不利益が生じてしまう場合があります。

公共財

例えば、市場では、公共財の供給は見込めません

公共財は、以下の記事でも解説しているので、合わせてご覧ください。

公共財は、道路や橋、治安維持、国防など、公共性が高い財やサービスを指します。

例えば、国防を市場を通して供給しようとすると、フリーライダーが出ることを防げません。

国防サービスを受ける人から料金を徴収しても、国全体を守ることになるため、結局料金を支払わない人もその恩恵を享受できるのです。

そのため、政府が政治権力を行使して税金を徴収し、そこから必要な費用を捻出して国防を行うのです。

このようにして、政治の必要性を説明することができます。

独占や寡占

また、独占状態は、消費者等にとって不利益となるおそれが多く、政府が適切な介入をすることもあります。

例えば、独占企業は市場での供給量を自由にコントロールできるため、価格が吊り上がってしまうことがあります。

この時、消費者にとって不利益であるだけでなく、必要な人に供給が行き渡らない恐れもあります。

そこで、政府の介入によって、価格に上限を設けるなど、市場の動向をコントロールすることがあります。こうすることで、適切な資源の分配が行われるのです。

市場の失敗

以上のように、市場での自然な経済活動だけではうまくいかない部分を、政治によって補填することでよりよい社会を目指すことができます。

市場の失敗には、他にも様々な種類があります。

例えば、情報の非対称性を考えてみましょう。

情報の非対称性とは、売り手と買い手で持つ情報に偏りがあることです。それによって、不利益が生じてしまう恐れがあります。

そこで政府が、買い手にとって必要な情報の公開を義務付けることによって、その非対称性を小さくすることができます。

政府の失敗

ここまで、経済だけではうまくいかず、政治の介入が必要な事例を紹介してきました。

しかし、反対に政治が介入することによって、不利益が生じる場合もあります。

このことを「政治の失敗」などと呼びます。

レント・シーキング

先程、独占市場の例を出しましたが、独占によって生産者は大きな利益を得ることができます。

詳しくはミクロ経済学で説明可能ですが、単純に独占企業は利益を最大化できるように価格が設定できると考えてください。

すると、そうして生まれた利益の中から、一部を政治に働きかける資金として用いて、独占状態を維持することができます。この資金の余剰資金のことを、レント・シーキングといいます。

例えば、政治家に献金をしたり、ロビイングの資金にしたり、圧力団体を結成したりなどによって、独占を規制する立法を阻止したり、認可をもらったりします。

こうして、政治が権力をもっていることで、消費者にとっての不利益が解消されないことがあります。

このように、政治と経済は、互いに役割を補填しあうことで、よりよい社会を目指しているといえます。

大きな政府と小さな政府

最後に、政治と経済の関係を考えた上での、政治の特徴を説明します。

政府が経済に対してどのくらい介入するのかという視点で、「大きな政府」と「小さな政府」の2つに分類することができます。

大きな政府

「大きな政府」とは、政府がさまざまな規制を行ったり、福祉や教育などのサービスを充実させることです。必然的に、政府の仕事量は増加します。

大きな政府では、生存権が万全に保障され、職業などの属性によらず、高水準の安定した生活が望めます。

北欧の例が有名ですが、医療費の自己負担なしや大学までの教育無償化など、たとえ貧しくても充実した生活を送ることが可能です。

一方で、税率が高かったり、高額な社会保険料を納めたりなど、国民負担率が高くなります。結果的に、経済的な自由度は少ないといえるでしょう。

大きな政府のことを「福祉国家」と呼ぶこともあります。これは、充実した福祉サービスがあるためです。

小さな政府

一方で、「小さな政府」は、政府の仕事が治安維持や国防などの、必要最小限のサービスの供給にとどまっていることを指します。

アメリカでは、日本のように国民に医療保険や年金を強制せず、自己判断に任せられていることが有名ですが、まさにこのような仕組みです。

こちらは福祉サービスなどにお金がかからないため、税金や社会保険料が安く済み、経済的な自由が高くなります。

一方で、自由な経済度からギャンブルなどに走り、生活が困難になっても、救ってくれる行政サービスがないなどの問題が生じます。

社会政策の充実を訴えたラッサ―ルは、この小さな政府的政策を「夜警国家」と呼んで批判しました。

まさに、治安維持や国防などに限定された国の仕事を言い得た表現です。

現代の日本

さて、では、現代の日本の政治は、「大きな政府」と「小さな政府」のどちらだといえるでしょうか。

日本では、医療保険や介護保険、年金保険など、社会保障が充実しており、所得が少なくても高等教育が受けられる仕組みが整いつつあるので、「大きな政府」的であるといえるでしょう。

しかし、高等教育は完全無償化とまではいっておらず、国民負担率もヨーロッパ各国に比べると低いため、完全に「大きな政府」とはいえません。

まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

いかがでしたでしょうか。政治と経済の関わりについて、理解を深めていただけたと思います。

当サイトでは、他にも政治学や経済学についての解説記事を多数配信しているので、そちらもご覧ください。

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