民主主義の危機、自由主義の凋落が時事的な一大トピックになっています。
政治・経済の世界で「〇〇主義」とつく言葉はたくさんあります。ニュースや書籍などでもよく登場しますよね。
しかし、漠然とは分かっていても、説明しろと言われたら答えに窮してしまう、そう思いませんか?
今回の記事では、このような「政治体制」について理解を深めてもらえればと思います!
政治体制とは
そもそも、政治体制とはどのようなことを指すのでしょうか。
簡単にいうと、政治の仕組み・制度の総体ということができます。
政治が行われる過程では、さまざまな事柄について意思決定がなされ、何らかの形で実行されたり、基準を与えたりします。
そのようなプロセスを行う全体が、どのように機能しているのかを説明するのが、政治体制といえます。
政治体制を分類する基準
政治体制をよりよく理解するために、いくつかの基準を与えて、分類していきましょう。
ここでは、主として2つの判断軸によって分類していきます。
第一の基準:民主的か
第一の基準としては、民主主義か否かという点があります。
民主主義的な手続きは、早くも古代ギリシアのアテネで行われていたことは有名だが、現在のように性別・財産・人種などによらず、等しく参政権が与えられるまでには時間がかかったのも事実です。
歴史的には、宗教的な権威や暴力的な実力によって正当性を確保し、絶対的な権力をもつ王などによる専制的な政治が行われました。
しかし、イギリスでの議会政治の確立や、フランス革命による共和制の成立など、徐々に民主的なプロセスも発展していきます。
日本でも、1990年に始まる帝国議会では、公選の衆議院議員による政治が始まりました(しかし、男女普通選挙の実現は戦後になります)。
現在でも、ヨーロッパやアメリカ大陸、日本、韓国、オーストラリアなどでは民主主義的な政治が行われています。
民主主義については、第11回~第15回の記事で解説していますので、そちらを確認してみてください。
一方で、民主主義とは反対で、専制君主制ともまた異なる政治体制が現代には存在します。権威主義です。
例えば、中国や北朝鮮では、一党独裁体制による政治が行われています。これらの国では、国の政治が共産党の指導の下におかれており、民主的とはいえません(北朝鮮では、形式上選挙が行われています)。
また、ロシアも、大統領は選挙で選ばれますが、しばしば権威主義的だと評されます。
権威主義体制においては、一定程度の自由は認められつつも、反体制的な言論が制限されることが多いです。中国では、インターネットが対外的に閉鎖された空間になっていることは有名ですよね。
第二の基準:自由か
もう1つは、自由主義的かどうかという基準があります。
日本を含め、アメリカや西欧の各国は、比較的自由主義であるといえます。
一方で、戦時中などの統制経済や、社会主義下での計画経済においては、あまり自由であるとはいえませんよね。
また、自由主義的な地域においても、福祉国家を目指すか、夜警国家を目指すかでは、その自由の度合いが大きく異なります。
福祉国家として有名な北欧などは、税金や社会保険料の負担が大きいかわりに、医療費や教育費は無償になっています。これでは、自分の稼いだお金を使うのに自由度は減りますが、安定した仕組みができているともいえます。
一方、自由を重んじる国として有名なアメリカは、日本のような国民皆保険や国民皆年金の制度がありません。加入の有無は、各個人の自由に任せられています。こちらの方が、より自由ですが、いざというときを考えると不安が残り、どちらの制度も一長一短だといえます。
政治体制の種類
では、以上2つの評価軸にそって政治体制を分類してみると、次のような図に表すことができます。
横軸では、民主主義の程度、縦軸では、自由の程度を表しています。
それぞれの分類について、細かくみていきましょう。

民主主義+自由主義
この領域は、そのままの名称で「自由民主主義」であるといえます。
日本、アメリカ、ヨーロッパなど、思い浮かぶ先進国はほとんどあてはまるのではないかと思います。
フランシス・フクヤマは、『歴史の終わり』において、世界の国々はどこもいずれ自由民主主義に向かい、自由民主主義が最終的に勝利すると述べました。
この考えが指示された時代もありましたが、現代の世界をみて、果たして本当にそうなっているといえるでしょうか。
そこで、他の分類もみていきましょう。
民主主義+非自由主義
ここでは、民主的なプロセスを経ておきながら、あまり自由が認められていないところを指します。
例えば、コロナ渦当時のことを思い浮かべていただくと、国会議員も首長も、みんな選挙によって民主的に選ばれた人たちだったわけですが、外出の自粛が呼びかけられるなど非自由な生活でしたよね。
もちろん、これは一時的なものですが、民主主義でありながら、自由でないといえます。
同様に、戦時下の国など、民主的な政権でありながら、国民の自由を制限するということはありえます。
さらに、非自由の程度をどこまで考えるかにもよりますが、近年では「選挙権威主義」と呼ばれるような、選挙で権威主義的な人物が選ばれることもあります。
非民主主義+非自由主義
ここでは、全体主義的な体制があてはあまります。
独裁的な政権が統治し、国のため、民族のために、自由を制限するならば、まさにここに分類されますよね。
また、ソ連のような国家社会主義もあてはまります。
東ドイツでは、秘密警察が国民を監視していたので、まさに非自由な社会ですよね。
他にも、権威主義的な国はここに含まれるのではないかと考えられます。
中国では、中国共産党の一党独裁による非民主的な統治であり、国民の活動が制限されている部分は多いです。
しかし、現在では市場経済が取り入れられており、自由主義による部分も多いため、次の「非民主主義+自由主義」に分類されるかもしれません。
非民主主義+自由主義
ここでは、民主主義のプロセスは経ないが、自由が認められている体制を指します。
例えば、シンガポールは、建国以来人民行動党が圧倒的強さで与党をつとめています。つまり、西洋諸国と比べると選挙が政治を左右しないという点で、あまり民主的ではないといえます。
ですが、シンガポールは経済が東南アジアでも随一に発展しており、自由が認められています。
まとめ
今回は、政治体制とその分類について、解説しました。
政治体制のおおまかな概要が理解していただけたのではないかと思います!
ですが、以上で取り上げた事例は、あくまで参考的に書いたもので、絶対的な分類・評価ではないという点に注意してください。
次回の記事では、この政治体制が、実際の歴史においてどのような変遷をたどってきたのかについて解説していますので、こちらも合わせて読んでいただけると嬉しいです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
