前回記事でご紹介したのは、個人が行動する上での指標となる原理です。
希少性の原理や機会費用、トレード・オフなどの関係を十分に理解した上で、合理的に人は行動する、という前提を置きました。
今回の記事は、このような性質を持つ個人が、実際に取引をする場である市場において、どのような原理が認められるのかを解説します。
基本的には、前回の記事で確認した4つの原理から、簡単に導かれる内容になっています。
それでは、始めましょう!
市場とは
市場とは、取引が行われる場所のことです。
取引によって、モノを交換したり、売買したりします。
そして、市場取引における、ある人の選択は、市場内の別の人の選択に影響を及ぼすことがあります。
このように、市場では各人が相互に影響を持つため、その影響について詳しく解明しなくてはなりません。
経済学は、この相互作用を解明することを目標にしています。
取引による利益
取引は、基本的には強制されることを想定しません。
それでは、どうして市場において取引が発生するのでしょうか。
それは、取引をすることで利益がもたらされるからです。
ここからはよく持ち出される例ですが、人は生活の中で様々な商品を消費することで生きています。
朝起きてからも、朝食のパンやコーヒー、歯ブラシに歯磨き粉、着替えるスーツと革靴、腕時計をはめて自転車に乗る、、、
朝だけでもこれ以上に様々な商品と接します。
しかし、これらすべてを自分で生産することは不可能に近いですよね。
パンの作り方、歯磨き粉の作り方、革靴の作り方、それぞれを知ることも大変ですし、さらにつくるなんて不可能です。
そこで、人々は何かの生産に特化することを発明しました。
パンを作るのに特化する人、歯磨き粉をつくるのに特化する人、革靴をつくるのに特化する人、
そして、みんなが作った商品を、市場で取引する仕組みがあるから、互いに欠けているものを調達できて、みんなの生活が成り立ちます。
1人だと、パンしか作れなかったのが、取引のおかげで、歯磨き粉も革靴も手に入れて、快適な朝を贈ることができます。
市場の3つの原理
さて、それではこの市場において認められる3つの原理を紹介します。
ここでは、入門的な内容ですので、これらの原理を紹介した上で、さらに経済学を学んでいくと理解が深まります。
ということで、経済学を勉強する上で、意識してほしい3つのこと、でもあります。
原理① 市場は均衡に向かって収束する
まず1つ目は、市場の取引は均衡に向かって収束するということです。
各人が自分の好きなように取引することが認められていたとしても、取引相手にとっても好条件でないと取引してもらえません。
各人が、取引が成立するように、取引相手との条件のすり合わせによって、取引相手という制約の下での利益の最大化を図ろうとします。
結果的に、市場全体でこのような動きが起きるので、ある取引条件へ向かって収束が見られるのです。
原理② 市場は効率的な配分へと向かう
取引は、「効率」と「公正」という2つの観点で評価することができます。
市場での取引では、各人が自分にとって一番合理的な取引を追求しますので、より効率な資源配分が行われます。
取引する両者が、自分にとって利益となる取引は常に、ぬかりなく行われるのです。これは、合理的経済人の仮定からも明らかですよね。
しかし、これが常に公正な取引となっているかは別問題です。「効率」と「公正」をそれぞれどのくらい重視するのか、というのも重要な問いとして持っていないといけません。
さらに、「効率」と「公正」は、トレード・オフの関係にあります。
原理③ 市場でうまくいかないときは、政府の介入で効率が達成される
とはいっても、原理②は他の要因が一切影響してこない、理想的な市場においての話です。
経済学では、議論の単純化のために、よく理想的な市場として「完全競争市場」を仮定しますが、実際にはそううまくはいきません。
つまり、自然なままの市場では、なかなか効率的に片付かない場合もあるということです。
そういうときは、政府が適切に介入することで、市場に影響を及ぼし、効率を達成することができます。
まとめ
この記事では、まず市場について定義し、市場における3つの原理について解説しました。
前回の記事と合わせて、今回の記事は経済学の基本となる、重要な内容なので、ここをきちんと抑えた上で学びを進めていってください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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